2007 Fiscal Year Annual Research Report
「法と経済学」の適用と限界に関する総合的研究-知的財産法を素材として-
Project/Area Number |
19653010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
潮海 久雄 University of Tsukuba, 大学院・ビジネス科学研究科, 准教授 (80304567)
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Keywords | 知的財産法 / 法と経済学 |
Research Abstract |
知的財産法に関する個別研究の中で、法と経済学の手法を用いているものについて検討を行い、以下の二つの分野において研究成果をあげた。 第一に、著作権侵害の責任主体に関する研究については、法と経済学の古典とされるもののうち、不法行為法、製造物責任および財産権の議論を参照して、知的財産法に適用して検討した。その考察過程で、法と経済学の議論についていくつかの限界を発見した。また、無体財貨という情報の特質、および、財産権、不法行為法からみた知的財産の位置づけという知的財産法の総論を見直す良いきっかけとなった。 第二の、特許法の開示要件の研究は、財産的情報を開示する代償として独占権を与えるという特許制度の根幹にあたるものである。その研究において、知的財産法固有の法と経済学の発想として、発明・製品化のどの過程に特許法がインセンティブを与えるべきかという観点から、技術分野別ごとの検討を行った。もっとも、同時に、技術分野ごとの特許法の要件の検討は、わが国の従来の研究の中でも散在的ではあるものの行われていることを発見した。また、特許法が、さまざまな種類の特許発明を抽象的な要件で規律しているため、その要件の解釈にどこまでそれらの要素を取り込めるか、また、立法論に反映できるかは、いくつかの諸条件が前提となると考えられた また、知的財産に関するドイツの法制史の調査を行った。 これらの知的財産固有の個別研究と平行して、法と経済学の私法の分野において、古典的なもののうち、契約法、不法行為法、財産権などを調査した。
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Research Products
(3 results)