2007 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境ガバナンスにおける政策ネットワークに関する研究
Project/Area Number |
19653013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮本 融 Hokkaido University, 創成科学共同研究機構, 特任准教授 (00360884)
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Keywords | 国際関係論 / 国際レジーム論 / 政策ネットワーク / 地球環境ガバナンス |
Research Abstract |
本研究は、多国間環境条約(MEAs)の形成過程・実施過程の検証を通じ、国際政治学におけるアイデアの役割に関する研究と社会学におけるネットワークの役割に関する研究及び専門知の役割に関する研究を統合し、科学的知見に基づき社会的に有効な多国間環境条約の形成に必要な科学者、行政官、企業、環境保護団体等とのネットワーク形成に関する統合的な視座の獲得を目的としている。 MEAsが企業行動を変更させる力となるためには、条約成立後の詳細枠組みの設定や定期会合を通じて形成される人的ネットワークが重要であり、実際の技術開発のアイデア、更には企業の国際戦略の検討に条約成立後に成立した専門知識集団が大きな役割を果たしている。 初年度においては理論的整理を行い、以下の3つの視点を得ることができた。第一に、政策ネットワークの中で議論されてきた「認識の共同体論」の動向であり、社会構築論に吸収されてしまう過程を分析した。第2は、そこから生み出される専門知の政策活用の研究である。日本における京都議定書の交渉経緯をケースとして分析した。第3に、地球環境ガバナンスを巡る国際政治理論の変化の分析である。この分野においては、いくつかの研究会における口頭報告の段階であるが、前二者の分野では論文を執筆しており、現在投稿準備中である。 今年度は、本研究の目標である「MEAsの形成」と「MEAsの実施過程」の二元論を克服し、MEAsの持続的発展のための要素を特定するため、比較ケースとして米国における政策ネットワークを分析することとしている。
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