2007 Fiscal Year Annual Research Report
習熟と環境価値の相互作用による新エネルギーの内生的成長モデルとその促進政策の研究
Project/Area Number |
19653024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
氷鉋 揚四郎 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (90189762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋澤 博幸 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (70291416)
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Keywords | 環境政策 / 再生可能エネルギー / 二酸化炭素排出削減 / 経済理論 / 解析・評価 |
Research Abstract |
平成19年度は、住宅用太陽光発電産業をケーススタディとして、基本モデルの開発、補助金の影響の検討、実績データによるパラメータ推定そして将来予測を行った。 本モデルは、新エネルギーが産業として初期段階にあり習熟効果がコストを左右している点と、消費者が新エネルギーの環境価値に対して従来エネルギーとの差額という形で評価している点に着目し、習熟によるコスト低下とそれによる需要拡大のサイクルで新エネルギー産業の成長過程を表したものである。習熟関数はコストを累積生産量の関数で表したものであり、環境価値に対する評価については4つの関数形を想定し、ある程度の生産実績があり生産量と価格のデータを得ることのできる住宅用太陽光発電をケーススタディとして関数形とパラメータの特定を行った。また、モデルの構築の際には、支給枠のある補助金が支給された場合の理論面での補正を行った。 価格と生産量に関する実績データを用いたパラメータ推定では、一致性のよい関数形は候補の中には見当たらなかった。そこで、時間と共にロジスティック曲線に従ってシェアの拡大する情報伝達効果をモデルに取り入れたところ、一致性は改善したが、関数形による違いは明確でなく、また需要の拡大が価格の低下に対する応答でなくほとんどが情報伝達の要素で説明されるなど、実態を表しているとは言えない結果となった。モデルのさらなる改良を試みた結果、情報伝達を考慮しない元のモデルにおいて、パラメータがシェアに依存して変化するようにしたところ、ワイブル関数を用いたモデルでこれまでで最も一致性のよい結果が得られた。 この関数形とそれにより特定されたパラメータを用い、住宅用太陽光発電の生産量の将来予測を行った。その結果、生産量は2007年以降数年間にわたって低下し、その後上昇するという予想結果が得られた。
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