2007 Fiscal Year Annual Research Report
公共的意思決定を行うための分権的制度の設計についての研究
Project/Area Number |
19653028
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
畳谷 整克 Kobe University, 経済学研究科, 准教授 (40272166)
|
Keywords | 理論経済学 / 公共経済学 / 遂行 / インセンティブ / メカニズム |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,分権的意思決定制度の本質の分析である.これらは,理論研究と応用研究から成り立つ.本年度当初の研究実施計画に基づき,以下を行った. 1.研究全体についての準備:本研究課題の着手に際して,関連領域についてある程度広範囲にわたって,調査研究を行った.具体的には,私的情報の集約や分権性に関する文献,ならびにその関連分野であるゲーム理論や情報の経済学,契約の理論などについてレビューを行った. 2.理論研究の準備,基本モデルの構築と分析:理論分析のためのモデル構築を進めた.研究全体の目標は,遂行理論のアプローチを用いて,様々な社会・経済問題において公共的意思決定を行うために必要となる私的情報の本質的な箇所を明らかにすることである.このために,社会・経済の参加者が制度において表明,交換すべき情報について,分権的制度として,あるいは現実の制度として,適切であると考えられる制約を置き,その下でいかなる公共的目標が達成可能であるかを検討した.しかしながら,今年度の研究においては,研究代表者が既に行った研究の精緻化に終始した点が否めない.具体的には,純粋交換経済において,パレート効率的な配分を達成するためには,経済の参加者がどのような情報を交換しなければならないのかという点について,自身の以前の研究で不明確であった点を明らかにした. 3.応用研究の準備:応用研究の対象としているマッチング問題の応用問題である学校選択や腎臓移植における患者とドナーのペアリングの問題についての文献の再検討を行った.当初計画では,これにより情報の非対称性の観点から現在(特に日本で)用いられている制度の問題点を明確にする予定であった.しかしながら,応用研究に関しては理論研究に増して進行状況が遅れている.
|