2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19653029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
内田 浩史 Wakayama University, 経済学部, 准教授 (60294295)
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Keywords | 企業間信用 / 金融政策 / ミクロ的基礎 / 貸出技術 |
Research Abstract |
本年度はまず、金融政策の企業間信用経路に関する準備的考察として企業間信用経路のメカニズムを明らかにすることから分析を開始した。そのために、企業間信用が用いられる理由、ならびに企業間信用が金融政策の波及経路に対してどのような意味を持ちうるのかを示した既存の理論分析を整理した。その結果、企業間信用が用いられる理由としては大きく分けて実物的な側面に注目するものと金融的な側面に注目するものがあり、金融政策に特に関わりがあるのは後者であることが分かった。こうした整理は展望論文として草稿にまとめることができた。この論文は早々に完成させ、公表する予定である。 マクロデータを用いた分析については、既存の実証研究を展望し、特に銀行貸出経路と企業間信用経路の関係についてこれまで一貫した結果が出ていない理由を探った。自らの分析でその理由を確かめるまでには至らなかったが、この整理の結果いくつかの理論的可能性を見出すことができた。こうした成果も上記展望論文に反映されている。 さらに、本研究では銀行貸出における「リレーションシップ」(貸出関係)の重要性を検討し、企業間信用への応用可能性を検討した。特に本年度は大企業についての分析の準備として中小企業における銀行貸出と企業間信用に注目した。その結果、既に進めていた研究(Uchida, Udell, and Watanabe(2006,経済産業研究所DP))の問題点を克服し、同研究を大幅に改善することができた。
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