2007 Fiscal Year Annual Research Report
制度設計の失敗による誤ったインセンティブ-なぜ経営者は法律の目的を読み違えるのか-
Project/Area Number |
19653033
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
安室 憲一 University of Hyogo, 経営学部, 教授 (50128782)
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Keywords | 制度設 / イル・インセンティブ / 機械主義 / グループ・シンク / 企業犯罪 / グローバル |
Research Abstract |
社会制度が高度に発達し、グローバルな相互依存と各国間の整合性が必要になると、一国・地域における「制度設計の失敗」が、世界の社会経済秩序にたいして、きわめて重大な影響をもたらすことになる。その結果、一国の制度設計は極めて高度の分析能力、設計技術、および社会的責任が伴うものに変質したといえる。そのため制度設計には、高等で広範囲の知識と深い洞察力と専門性、スーパーコンピユータ等を活用した大規模なシミュレーションが必要になってきた。この結果、法律の施行や制度の実施には、社会科学の総合化、実験化が不可欠の条件となっているのである。 本研究の目的は、そうした制度設計の誤りにより引き起こされる「間違ったインセンティブ」の発生プロセス。制度設計のミスによって、経営者が誤った動機付けを受け、企業犯罪に誘引されるメカニズムの解明、誤った意思決定を防ぐ早期警戒システムなどである。この研究目的のため、19年度は、制度設計の失敗事例を収集・分析し、概念枠組みの構築を行った。経営者の意思決定の失敗に至るメカニズムの究明と理論化を意図した。とくに、同業他社の動向に共鳴する形でなされる「集団意思決定の錯誤」(グループ・シンク)ノメカニズムを中心に考察を進め、ある程度の成果が得られたと考えている。20年度は、制度設計の誤りがもたらすインセンティブの強さを測定する方法について、具体的な成果を出したい。可能ならば、大規模シミュレーションに至る筋道をデザインしたい。
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