2007 Fiscal Year Annual Research Report
積極的利益調整と財務諸表の重要な虚偽表示との区画原理及び判断基準に関する研究
Project/Area Number |
19653040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
内藤 文雄 Konan University, 経営学部, 教授 (80188862)
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Keywords | 財務諸表監査 / 経営者不正 / 積極的利益調整 / 粉飾決算 / 会計上の見積もり / 会計判断 |
Research Abstract |
本研究は、会計上の見積りに代表される経営者の会計判断の主観性の程度が大きいためにもたらされる利益調整(アーニングス・マネジメント)が、どの程度になれば財務諸表の重要な虚偽表示(利益操作・粉飾決算)-と判断されるべきか、その区画原理および判断基準を明らかにする目的をもった研究である。 本研究の基礎として財務諸表等会計情報の質的特性の分析が必要であり、それにもとづき一般に公正妥当と認められた会計基準の枠内での経営者の会計判断のフレキシビリティを利用した積極的な利益計算の調整が、財務諸表の虚偽表示、すなわち粉飾決算とどの水準において区別されるのかということを解明する目的を有している。 そこで、本年度は、積極的利益調整と財務諸表の重要な虚偽表示に関する国内外の研究・調査を網羅的に悉皆調査し、その内容を分析・整理すること、および積極的利益調整と財務諸表の重要な虚偽表示との間の区画原理を、これまでの国内外の研究成果から演繹的に導出し、本研究の概念フレームワークを構築すること、以上2点の実施計画を実施した。 主な研究成果として、アメリカにおける粉飾決算事例から会計上の見積もりに関連した、経営者の会計判断の主観性に起因すると考えられる粉飾決算事件を渉猟・検討し、経営者の不正摘発に関する国内外の基準内容の観点から分析を行い、会計上の見積もりによる積極的利益調整の問題点を実際の事例により解明したことを上げることができる。 また、本問題点について、積極的利益調整と財務諸表の重要な虚偽表示との間の区画原理に関する概念フレームワークにおいていかに包含させるかについて新たな観点から整理を試みている。
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Research Products
(4 results)