2008 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の訪問型個別就労支援のモデルプログラム開発に関する研究
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19653058
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Research Institution | Hiroshima Bunkyo Women's University |
Principal Investigator |
立石 宏昭 Hiroshima Bunkyo Women's University, 人間科学部, 教授 (10352014)
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Keywords | 社会福祉関係 / 障害者福祉 / 就労支援 |
Research Abstract |
本研究の目的は、保健・医療・福祉と就労支援が一体となったプログラムである「個別職業紹介とサポートによる援助付き雇用プログラム(IPS)」をパイロット的に試行し、相談からフォローアップまでを重視する訪問型個別就労支援の方法を検討することである。本年度は、訪問型個別就労支援におけるQOLとの関係を知るため、精神障害者地域活動支援センターの利用者73人に対して、S1(就労準備)、S2(求職活動)、S3(フォローアップ)、S4(保留・終了)という就労支援のターニングポイントを設け、「SF-36v2日本語版」によるQOLの変化を測定した。分析は、SF-36v2の36項目の設問に0〜100点をスコアリングし、「国民標準値(Norm Based Scoring: NBS)」と比較した。また、SF-36v2の下位尺度に重みづけをしたあと、「身体的健康度をあらわすサマリースコア(Physical Component Summary: PCS)」と「精神的健康をあらわすサマリースコア(Mental Component Summary: MCS)」の変化を探った。さらに、各ステージの特性値に対する因子の影響を知るため、反復測定による一元配置分散分析および多重比較を行った。その結果、S1(就労準備)のPCS(-3.6)、MCS(-4.0)は、ともにNBSを下回り、就労を目指す段階ではQOLは低下していた。しかし、S2(求職活動)では、S1を上回り、S3(フォローアップ)になると、PCS(0.8)、MCS(3.5)はNBSを上回るほど高い数値を示していた。さらに、S3(3ヵ月)では、PCS(4.3)はNBSを大きく上回り、身体的健康度が高くなっていた。しかし、S3(6ヵ月)を過ぎるころから、PCS(3.7)、MCS(2.3)の低下が始まり、S3(18ヵ月)になると、PCS(-1.3)、MCS(-0.1)はNBSを下回っていた。つまり、各ステージにより利用者のQOLに変化が見られた。また、反復測定による一元配置分散分析および多重比較を行ったところ、(1)S1とS3,(2)S1とS3(3ヶ月)、(3)S1とS3(6ヶ月)、(4)S2とS3、(5)S2とS3(6ヶ月)の群間で有意差を確認することができた(F値6.425、p<0.000)。つまり、就労支援を始めて18ヵ月当たりに就労継続を図るためのターニングポイントがわかった。
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Research Products
(4 results)