2009 Fiscal Year Annual Research Report
法的プロセスに及ぼす認知的・動機的要因の影響―理論的・実証的研究
Project/Area Number |
19653061
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
唐沢 穣 Nagoya University, 環境学研究科, 教授 (90261031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 顯治 神戸大学, 法学研究科, 教授 (50222378)
藤井 聡 京都大学, 工学研究科, 教授 (80252469)
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Keywords | 法と心理 / 紛争解決 / 規範意識 / 責任判断 / 認知バイアス / 社会心理学 / 法社会学 |
Research Abstract |
1.犯罪事件に関する情報伝達がその原因に関する推論過程に与える影響を調べた実験的研究をもとに執筆した論文を学術誌に公刊した。 2.応報的公正意識と行為者に関する道徳性情報が、犯罪に関する量刑判断、更生可能性、および原因帰属過程に及ぼす影響を調べるための実験的研究を行った。結果は、一般人(大学生)の刑事判断においても、応報的公正の構成要素である意図性、犯罪の違法性、結果の重大性などに影響を受けることを示した。さらに重要なことに、これらの要因の効果を上回って行為者の道徳性が量刑等に大きな影響を与えることを明らかにした。この結果は、厳罰化が進んでいると言われる現在の司法の状況、および世論の影響を考慮する際に重要な示唆を与えるものとなることが予想される。 3.企業の違法行為に対する、意図性と責任の判断に関する実験的研究の結果をもとに執筆した論文を学術誌に公刊した。結果は、集団としてのまとまりが強く知覚される企業に対しては、擬人的な意図や動機といった心的状態が知覚され、しかもそれが責任判断へと至ることを示した。企業のガバナンスなどの問題についても多くの示唆を与えるものとなった。 4.日本心理学会において、「責任概念を洗い直す」と題じたワークショップを開催した。消費者からの苦情に関する研究、金融商品の勧誘的取引における認知バイアスの可能性とそれに対する民法的解釈の問題、企業の社会的責任などに関する研究発表をもとに、心理学と法学の対話をさらに推進した。 5.北海道大GCOE主催のシンポジムにおいて消費者の投資行動に影響を及ぼす認知バイアスの影響の可能性を法学的に議論し、心理学的アプローチの観点を法学の分野に提供することを試みた。 6.帰結主義的道徳観に関する批判的検討を継続し、その成果を学術誌に公刊した。
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Research Products
(15 results)