2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19653083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 裕之 Kyushu University, 芸術工学研究院, 准教授 (40243977)
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Keywords | 実験心理学 / 運動知覚 / 眼球運動 / サッカード / 錯視 |
Research Abstract |
運動する等輝度刺激の運動知覚について、コンピュータによる動画を用いて調べた。周辺視において交照法による等輝度刺激を作成し、細いバーを高速に移動させた場合、しばしば1本のバーが暗いバーと明るいバーに分離して見えた。この現象は色の組み合わせに対して選択的に発生し、赤背景に青いバーなどで最も顕著に生じた。錐体と桿体の応答速度の違いによって、見えの分離が生じたものと思われる。錐体と桿体の応答の総和として等輝度となる対象においては、運動による桿体の応答の遅れが実質的な輝度差を生み、通常の等輝度刺激のゆっくりした運動の見えではなく、はっきりとした輝度定義運動の見えとして現れるものと思われる。サッカード時には、サッカード抑制終了後に遅れた桿体の運動が知覚されることによって、等輝度刺激の見えの動きが現れるものと考えられる。この結果は国際会議(Asian-Pacific Conference on Vision)にて発表した。H19年度に新たに発見した運動物体の衝突位置のずれに関する錯視は、数量的に分析を行い、上記国際学会で発表した。明暗の繰り返しにより、局所的に高コントラスト、全体的に背景と等輝度になる刺激において見えの方向が変わる錯視について実験を行い論文化した(Perception誌に掲載が決定)。 強膜反射法を利用した眼球運動の測定装置とLEDバックライト制御による高速提示が可能な液晶ディスプレイを組み合わせて、サッカードと同期させて刺激を提示または消去する装置の製作・改良をほぼ完了した。H21年度はこれを用いてサッカードと等輝度運動の関連を調べ、論文にまとめる。
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