2007 Fiscal Year Annual Research Report
教授関係者は水俣病問題とどう向き合ったか?:環境教育史研究のための基礎的資料収集
Project/Area Number |
19653087
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
安藤 聡彦 Saitama University, 教育学部, 教授 (40202791)
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Keywords | 環境教育 / 水俣病 / 公害問題 / 教育史 / 環境史 |
Research Abstract |
日本環境教育史研究の開拓のために,水俣病問題が水俣市およびその周辺地域の「人づくり」(中内敏夫)の過程に与えたインパクトを検証するうえで不可欠な資料の収集を実施した。現時点では,水俣病問題が発生した1950年代から1980年代末にかけての時期について,集中的に作業を実施している。 (1)文字資料の収集;テーマにかかわる文字資料(行政資料,新聞記事,諸団体の会報,資料集,研究書,文学資料,等)の収集を行った。(2)オーラルな資料の収集;水俣市内の学校において水俣病問題の授業に取り組んできた教師たちへのヒアリングを実施した。また,それらの教師たちの授業に協力した患者自身や患者家族のヒアリングを実施した。さらに,周辺地域で生活してきた患者たちのヒアリングをも実施した。(3)ヴィジュアルな資料にかかわる証言の収集;水俣病問題は,日本で発生した公害問題のなかでは,おそらく例外的に多くのヴィジュアル資料(写真/ドキュメンタリー番組/映画)が残されている問題であるだろう。今年度,NHKアーカイブス(埼玉県川口市)の協力により,「MINAMATAの半世紀;制作者とともに観るNHK番組のなかの水俣病」(全4回)を開催し,1950年代から現在までの間にニュース報道やドキュメンタリー番組作成に携わった記者やディレクター,アナウンサーたちの貴重な証言を得ることができた。 本研究の志向している水俣病問題を事例とする日本環境教育史研究の基礎的資料収集は,明確な資料論及びその資料にかかわる資源との間のネットワークの形成との双方が不可欠であるが,現時点ではその双方ともが形成途上の段階にある。残りの1年の課題である。
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