2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19654004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川中 宣明 Osaka University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10028219)
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Keywords | ヤング図形 / アルゴリズム / フック公式 / 表現論 |
Research Abstract |
対称群のモジュラー表現論において有名な「中山予想」を定式化する過程において、中山 正は、ヤング図形から次々とフックを抜いていくという(非決定性)アルゴリズムを考えた。これを中山アルゴリズムという。本研究では、この中山アルゴリズムの一般化と抽象化に取り組み、幾つかの顕著な成果を得た。まず、非決定性アルゴリズムの概念を抽象化し、抽象代数系の一種としてアルゴリズムを考えることにした。中山アルゴリズムを抽象アルゴリズムの内部で特徴付けることを試み、中山アルゴリズムの抽象化としての平明アルゴリズムの概念を得た。平明アルゴリズムは5つの公理からなる公理系を満たす抽象アルゴリズムである。 平明アルゴリズムの公理系から自然に導かれる基本的な諸結果を整理した。 最も著しいと思われるのは、ダィアグラムとフックの概念で、これらは平明アルゴリズムの「初期データ」を与えると考えられる。平明アルゴリズムの基本定理は、これら初期データにより、平明アルゴリズムの全進行が完全に統制される、という主張である。この見地の応用として、平明アルゴリズムにおける「色付きフック公式」の成立が予想され、研究代表者が指導する学生の仲田研登により証明された。また、ヤング図形におけるGreene-Nijenhuis-Wilf確率アルゴリズムの類似を平明アルゴリズムのダイアグラムに対して構成し、その主要結果(標準盤の一様ランダム生成)の一般化を証明することができた。また、やはり基本定理を用いることで、ある種の自然な有限性条件の下での平明アルゴリズムの分類にも成功した。これらの成果について幾つかの講演で発表するとともに、名古屋大学多元数理学研究科で講義を行った。
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Research Products
(1 results)