2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19654008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小磯 憲史 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (70116028)
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Keywords | 波動方程式 / プレート方程式 / 弾性曲線 |
Research Abstract |
研究の最終的な目標は,CaflishとMaddocksによる平面上の1次元弾性体の運動方程式の解の存在定理を一般のRiemann多様体Mに拡張することにある.今年度は,昨年度に得られた手がかりをもとに,両側不変なRiemann計量を持つLie群における研究を進めた.その結果,そのRiemann多様体において問題を完全に解決できた.即ち,次の定理が証明できた. 定理:両側不変なRiemann計量を与えたLie群(G,g)において,Caflish-Maddocks型の1次元弾性体の運動方程式は任意の初期値に対して無限時間の解を持つ. Eudid空間においては,運動方程式を線型積分方程式と半線型波動方程式に分解することが鍵となって証明が進行する.しかし,曲がった空間の場合は,積分方程式に書き直すことができない.その困難点を,積分方程式ではなくて,常微分方程式のまま処理するという方法によって解決した.しかしながら,その方法ではあらたに,2つの常微分方程式の同時可解性ということが問題になる.その問題点は,逐次近似の過程においては同時可解でないが,収束した極限においては同時可解になっているということを示すことによって解決することができた. なお,両側不変という条件は,方程式をLie環上で書き直したときに,測地線が直線に対応することによるエネルギー評価に用いている.片側不変の場合にはそのままでは使えないが,その場合でも処理できる手がかりも得た.
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