2007 Fiscal Year Annual Research Report
確率セルオートマトンへの超離散化および逆超離散化の研究とその応用
Project/Area Number |
19654016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
時弘 哲治 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 教授 (10163966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西成 活裕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40272083)
田中 宏志 島根大学, 理工学部, 准教授 (10284019)
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Keywords | セルオートマトン / 確率モデル / 超離散化 / 逆超離散化 / 反応拡散系 |
Research Abstract |
本課題の目的のひとつは非線形偏微分方程式と確率セルオートマトンを直接的に結ぶ超離散化および逆超離散化の手法を開発し,複雑系の諸問題に適用できる解析方法を提供することである.特に,反応反応拡散系におけるパターン生成や流体の乱流現象に格子ガスとは異なるより良いセルオートマトンモデルを与えることを目指している. そのための課題として,(1)セルオートマトンが多角形(主として正方形)のセルから構成されることにより生じる生成パターンの異方性を取り除き,等方的なパターンを生成すること,(2)与えられた反応拡散方程式の反応項と拡散項から系統的にセルオートマトンを構成すること,があげられる. 第1の課題に関しては,昨年度より空間的なランダムネスを入れることによって回復することを見出していたが,これは第2の課題との整合性がうまく行かず新たな方法を模索していた.本年度は,反応物質が部分的にランダムウォークする新しいモデルを考察した.その結果,数値シミュレーションによって等方性の回復が行われることが明らかになった.またランダムウォークする確率が,連続系における拡散係数に対応することがわかった. さらに,反応項に対しては,相平面における反応項のベクトル場を離散化することによって,対応するセルオートマトン系が構成できることがわかった. これは,従来の極限操作による超離散化と異なり,ベクトル場を整数値にのみ値をとりうる離散ベクトル場(あるいはグラフ)と考える手法で,むしろ通常の離散化の手続きに近いが,確率変数の効果によって等方性が回復され,系統的なセルオートマトンの構成に滴していることがわかった. 具体的なモデルとしてBZ反応モデルを扱い,どのようなパラメータ領域で回復されるか,ターゲットパターンやスパイラルパターンが生成されるか詳しく調べた.その結果,生成パターンの強いパラメータ依存性が見出され,この点でも有力なセルオートマトン構成法であることが確認できた.
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