2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19654018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 陽一郎 Kyoto University, 数理解析研究所, 教授 (20033889)
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Keywords | 行列式過程 / 非衝突ブラウン運動 / 点過程 / ランダムな時間発展 |
Research Abstract |
初年度である今年度は、情報収集(目的の研究者が1カ月間京都に滞在するという想定外の幸運のため、海外渡航は取りやめた。)および予備的な考察に専念し、成果公表には至っていない。本年度は時間発展をする行列式過程について、例えば、種村、香取が調べている非衝突ブラウン粒子系あるいは同様の構造(以下、仮に直和型と呼ぶ)をもつ既知のもの以外に存在するかという問題について予備的な考察をした。これは、約5年前に、H.Spohnが提起した問題であり、無限の過去をもつ/もたない時間発展という本課題の観点からは、まったく新しい例を提供する可能性のある問題である。 この問題は、確率であるという要請を緩めて符号付き測度の範囲で考えれば、本質的には、有限個の正方行列の族に対して、quasi-rank 1であって直和型でないものが存在するかという問題に帰着されることがわかる。ただし、正方行列Tに対して、det(I-zT)がzの1次式であるとき、quasi-rank 1と呼び、正方行列の族に対しては、その各に関してquasi-rank 1であるとき、quasi-rank 1と呼ぶ。quasi-rank 1の行列はrank 1の行列と冪零行列の和に分解されることは自明である。 これは一見簡単な問題であり、既知の結果があってもよいと思われたが、知見をもつ研究者も文献は見当らず、まったく未知の問題のようである。これについて調べ始めたところ、対角化可能な行列の族に限定すれば直和型のみであるが、そうでない場合は非直和型が存在し得ることが判明した。そこで、この問題に取り組み、quasi-rank 1の行列の分解の特徴づけとその構造の解明までは成功し、最近、行列族の場合の研究に着手したところである。
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Research Products
(1 results)