2008 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム・シュレーディンガー作用素のランダム行列の手法による研究
Project/Area Number |
19654020
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
小谷 眞一 Kwansei Gakuin University, 理工学部, 教授 (10025463)
|
Keywords | ランダム・シュレーデインガー作用素 / ランダム行列 / スペクトル / 可積分系 / 準周期性 |
Research Abstract |
ランダム・シュレーディンガー作用素をランダム行列の手法により研究するために、計画に従い8月15日から9月22日までニュートン数理科学研究所に滞在し、プログラム「Mathematics and Physics of Anderson Localization:50 years」に参加した。ここでの研究集会とセミナーにおいて研究発表し、さらに関連する事柄について情報交換した。とくに1次元シュレーディンガー作用素のスペクトルの絶対連続性とポテンシャルの関係について最新の情報を知ることができた。これは報告者がランダムなポテンシャルの場合に1982年に得ていた結果をランダムの仮定なしで証明する画期的な結果であり、報告者が進めている無反射ポテンシャル上のKdV力学系の構成および概周期性の研究に有用であると考えている。 さらに本年より東北大学の小谷元子教授が代表者である(独)科学技術振興機構CRESTの「離散幾何学から提案する新物質創成と物性発現の解明」プログラムに協力研究者として参加することになり、そのキックオフシンポジウムで数学以外の研究者にアンダーソン局在について数学の立場からの入門的な講演を行った。東北大学では幾何学的な立場から物質の構造が周期性を持つ結晶の研究が進んでいるが、準周期的な構造を持つ結晶にも関心が持たれており、報告者の関心と重なる部分が多いので、研究協力により本研究課題の目標達成に有益であると考えている。
|