2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19654025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤 誉志雄 Kyoto University, 理学研究科, 教授 (10180027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 伸生 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40240303)
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Keywords | 非線形分散型方程式 / 確率微分方程式 / ノイズによる安定化現象 / 時空間ノイズ / 解の時間減衰 |
Research Abstract |
平成19年度は,非線形分散型方程式である非線形シュレディンガー方程式とKorteweg-de Vries方程式に対し,時間空間ノイズを乗法的に付加した場合における,解の時間無限大での漸近挙動を研究した.時空間ノイズを付加した場合,数学的にはまずその特異性が問題となるが,今回は時間変数に関してはホワイトであるが空間変数に関しては正則である時空間ノイズについて考えた.(空間変数に関して正則とは,空間変数のフーリエ成分が高周波帯で速く減衰するノイズのことである.)空間変数に関し正則なノイズに対しては,無限次元空間においても伊藤積分が数学的に厳密に定式化できるのがその理由である.しかし,たとえ空間変数について正則であっても,すべてのフーリエ成分を含んでいるため,時間にしか依存しないノイズと比較して,より現実の物理現象を反映していることが期待される. この研究を遂行するために,平成19年12月3日-4日の期間京都大学で"Stochastic Problems and Nonlinear PDEs"と言う国際研究集会を開いて内外の専門家を招き,講演してもらうとともに意見交換を行った.特に,外国人研究協力者であるAnne de Bouard氏を,この機会に招聘し研究連絡を行った.また,ラフパス理論についても,当該分野の専門家に講演をお願いした. 具体的な研究として今年度は,乗法性ノイズを付加した場合に,ほとんどすべての個別解が時間無限大でゼロに収束する十分条件のもとで,ゼロの収束の仕方について精密な研究を行った.また,Grenierなどによる物理的考察から得られた結果と,今回数学的な証明によって演繹された結果との比較・検討を行った.実際,今回得られた定理の数学的仮定とGrenierが行った物理的考察の前提条件においては,両者ともノイズの空間変数に関するフーリエゼロモードが関係しているという共通点が見られた.
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