2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19654025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤 誉志雄 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (10180027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 伸生 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40240303)
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Keywords | 確率非線形分散型方程式 / 乗法的ノイズ / ノイズによる安定化 / 解の漸近挙動 / Lugiato-Lefever方程式 / 空洞ソリトン |
Research Abstract |
今年度も昨年に引き続き,Korteweg-de Vries方程式に乗法的ノイズが加わったときの解の漸近挙動を研究した.反応拡散方程式に乗法的ノイズを付加した場合,ほとんどすべての解が時刻無限大でゼロに漸近するという,いわゆるノイズによる安定化現象(stability by noise)はよく調べられており,多くの先行結果がある.しかし,保存系である非線形分散型方程式に対しては,ほとんど結果はなかった.今回は,時空間ノイズに関し,共分散作用素にある種の強圧性(coerciveness)があると,周期境界条件のもとでの確率KdV方程式についても,ノイズによる安定化現象が起こることを証明した.また,加法的ノイズが付加された非線形シュレディンガー方程式として,Lugiato-Lefever方程式を研究した.この方程式は空洞共振器の数理モデルを記述する方程式であり,空洞ソリトンという物理的に重要な空間的に局所化した定常解を持つ.今年度は,確率項を付加しない方程式を考え,まず空洞ソリトン対応する定常解の存在を証明した.次年度は,Lugiato-Lefever方程式に確率項を付加しFreidlin-Wentzell型の中心極限定理を調べることにより,ある意味での空洞ソリトンの安定性を研究する計画である. また,平成19年12月1日-2日の期間京都大学で"Stochastic Problems and Nonlinear PDEs"と言う国際研究集会を開き,内外の専門家に講演してもらうとともに意見交換を行った.特に,外国人研究協力者であるAnne de Bouard氏を,この機会に招聘し研究連絡を行った.
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