2007 Fiscal Year Annual Research Report
2次元光イメージングのためのガス増幅器を用いた大口径光検出器の開発研究
Project/Area Number |
19654036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小沢 恭一郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 講師 (20323496)
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Keywords | 光検出器 / GEM / イメージング / 2次元読み出し |
Research Abstract |
本研究は、大口径で高分解能の2次元光イメージングを行う光検出器を開発することを目的し、その開発された測定器をもって、素粒子・原子核実験や関連分野に新たな実験の地平を切り開くことを標榜する。高い測定レート(10kHz)、大きなアクセプタンス(4π)、高い分解能(100μm)という性能を目指す。本研究で開発する検出器では、ガスを用いた光検出器を用いることで比較的安価に大立体角を高分解能で覆うことが可能になる。元となる技術は、申請者らがブルックヘブン国立研究所における重イオン衝突実験(PHENIX実験)のために開発した、CsI光電子面とガス増幅器を用いた光検出器である。 2次元光イメージングを行うための開発要素として、CsI光電面とガス増幅部がある。ガス増幅部には、Gas Electron Multiplier (GEM)と呼ばれる装置を用いる。GEMは、50μmのカプトンフィルムの両面にCu電極をメッキし、貫通するように70μm程度の小さな穴を140μmピッチで多数開けたものである。これをガス中に設置し、両面に電圧をかけることで穴中に高電場を生成し、光電面からの光電子の数をこの高電場中で増幅することで電気信号として取り出すことが可能にする。さらに、その信号を縦横に走るストリップで読みだすことで2次元のイメージングを可能にする。CsI光電面は、このGEMフォイルの表面にCsIを蒸着することで実装する。 本年度は、大立体角検出器に向けた安価なGEMフォイルの製作にをまず行い、その性能が十分であることを示した。これは、工業的な応用に向けた道を開くものである。次に、そのGEMフォイルを用いて2次元の読み出し装置をテストし、予想通りの性能を持つことを確かめた。これにより、2次元イメージング開発に向けたガス増幅側の基礎的準備は整った。
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