2007 Fiscal Year Annual Research Report
ピコ秒の時間分解能を有する原子位置分解能表面振動分光法の開発
Project/Area Number |
19654042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上原 洋一 Tohoku University, 電気通信研究所, 教授 (30184964)
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Keywords | 振動分光 / 原子・分子 / STM / 光学分光 / 原子位置分解能 / ピコ秒時間解能 |
Research Abstract |
走査型トンネル顕微鏡発光(STM発光)分光による「固体表面吸着種の振動分光技術]とSTMの試料-探針間ギャップにピコ秒パルスレーザーを照射することによる「時間分解STM発光」を組み合わせることにより、ピコ秒の時間分解能を有する原子位置分解能表面振動分光法を開発することが本研究課題の目的である。この手法に於いては、STM発光(電子トンネル励起発光)に加え、レーザー光による直接励起発光も観測される。この直接励起光は観測すべき信号であるSTM発光に対して「背景光」となるので、その特性を理解しておくことは重要である。背景光の特性を入射レーザーパルスの強度の関数として計測し、入射レーザー光のパワーの増強に伴い、発光の寿命時間が減少することを見いだした。並行して、ピコ秒レーザー装置とSTM装置間のレーザー・パルス光伝送系(伝送距離は約40m)の整備を行い、ピコ秒レーザー照射下でのAu(110)-(2X1)清浄表面のSTM発光を計測した。清浄表面を試料としたことでSTM発光特性は極めて安定化し、従来の試料では不可能であったレーザー照射強度とSTM発光強度の相関の精密計測が可能になった。その結果、ピコ秒レーザー照射に伴うSTM発光のパルス化は、STM発光強度の低下として観測されることが分かった。この結果は、扱いが複雑で感度の劣るストリークカメラを用いることなく時間分解STM発光が可能になることを示し、計測手法の実用化の観点から重要な知見である。
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Research Products
(2 results)