2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19654060
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金森 英人 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00204545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 麻雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (20322092)
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Keywords | オルトーパラ / 高分解能分光 / 超微細構造 / 等価粒子の交換 / パリティ対称性 |
Research Abstract |
分子における等価核子の交換対称性に基づくオルト-パラ状態の問題は、分子を物理的に理解する上で最も重要な基本概念の1つである。我々はS_2Cl_2分子の高周波数分解能のマイクロ波分光スペクトル測定によって発見したエネルギー準位の分裂の存在から、オルト・パラ間の直接遷移の検出が現有の測定装置に改良を加えるだけ実測可能であるとの確信に至り、世界に先駆けてオルト-パラ状態間の光学遷移の観測に挑戦することとした。 そのためには各回転準位のオルト-パラ混合比の計算をおこなう必要があるが、今までに実測した回転状態J=6までのスペクトル解析をおこない分子定数を決定した。その結果をまとめてJournal of Molecular Spectroscopyに投稿し受理された。また、実際の測定のためには、マイクロ波による遷移強度の特に大きなものを予め、計算で予測しておく必要があるので、実測可能は周波数帯に出現する、より高い回転状態ついても超微細構造ごとにオルト-パラ混合比を計算した。さらに、その値の大きな準位から可能となる光学遷移の大きさを計算するための、遷移強度計算プログラムを開発した。 一方、実験的には新たにサブミリ波領域の高感度分光計測システムの構築をおこなった。これは、周波数の高いサブミリ波が遷移強度からはミリ波の測定より桁違いに有利となるからである。しかしながら、従来の超音速ジェットと組み合わせると回転温度が10K以下と冷え過ぎてしまうので、サブミリ波帯での観測対象となる高い回転状態の検出が困難となってしまう。そこで、液体窒素冷却の長光路セルを制作し、サブミリ波領域の遷移が強くなる適当な温度での測定を可能とした。分光光源としては従来のBWOに加えて、新たに高調波ミキサーを導入し、サブミリ波帯の位相安定化分光光源を整備した。
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