2007 Fiscal Year Annual Research Report
気体アルカリ金属原子の光ポンピングによる固体アルカリ塩の核スピン偏極
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19654062
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
石川 潔 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 准教授 (00212837)
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Keywords | 光ポンピング / 偏極原子気体 / アルカリ塩 / スピン流 / 核磁気共鳴 / スピン注入 |
Research Abstract |
本研究は、気体アルカリ金属原子を光ポンピングすることにより、固体のアルカリ塩の核スピンを偏極することを目的としている。これまで磁場9.4T、アルカリ塩としてCsHで測定してきたが、磁場を2.7Tに弱くするとスピン偏極率が大きくなること、CsClでも増大が見られることがわかった。そこで、永久磁石を使ってさらに低磁場(0.57T)においてNMR計測する準備を整え、LiClのLi-6とLi-7の熱平衡状態の信号を観測し、スピン緩和時間を測定した。アルカリ金属原子の電子からアルカリ塩の核へスピンが移るスピン交換相互作用だけでなく、低磁場では、異なる核種でも磁気双極子相互作用によって偏極が移行する経路が加わるため、今後、詳しく調べたい。また、固体表面におけるスピン注入の機構を詳しく調べるためには、表面に到達するスピン流の大きさを正確に評価する必要がある。そこで、固体表面付近のスピン流を、Cs原子の角運動量を担う電子スピン流と核スピン流に分類し、それぞれの大きさが、ポンピングレーザー周波数、磁場、温度、緩衝ガス衝突による超微細シフト相互作用により大きくなると考えられていた。しかし計算結果から、それだけでなく、Cs原子間のスピン交換相互作用により、低圧であっても高温(>100℃)であれば、核スピン流が増えることがわかった。
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