Research Abstract |
本研究では,波長可変なダイオードレーザーを用い,火山噴気に含まれるH_2Sガスの検出を高速で繰り返し行うことを目指している.2008年度では,面発光赤外ダイオードレーザー(Vertilas社製),InSbAsフォトダイオード光検出器,オプチカルチョッパー,アナログ式ロックインアンプ,オシロスコープ,バンドパスフィルター(1580nm)を相互に結合し,システムを完成させた.レーザー発振器と光検出器を約30cm程度離して,光検出器の出力を直接測定した場合,室内の赤外線による妨害で,レーザー光はノイズにまぎれて検出することが困難であった.しかし,オプチカルチョッパーにより光検出器の直前でレーザー光をパスル化し,ロックインアンプで同期検出を行うことにより,たとえ電灯の点いた室内であっても,レーザー光を感度よく検出することに成功した.また,レーザードライバーに内蔵された波長変調機能により,レーザー光波長を周期的に変化させ,光検出器で再現する実験にも成功した.さらに,光路長,約10cmのアクリル製のガスセルを自作し,H_2Sガスを数%混入させ,レーザー光を透過させ,H_2Sガスによる吸収線の検出をこころみたが,成功に至らなかった.この原因としては光検出器の感度が十分でない,あるいはH_2Sガスの吸収係数が非常に小さいことが考えられる.来年度の実験では,レーザー光をレンズで平行化し,さらに集光させて光検出を行い,実験室におけるH_2Sガス検出を行う.さらに,装置を野外で稼動させ,噴気地帯におけるH_2Sガスの検出を目指す.
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