2007 Fiscal Year Annual Research Report
自生炭酸塩岩の同位体分子指標を用いた沈み込み帯の間隙流体移動の長期観測
Project/Area Number |
19654074
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
井尻 暁 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, ポストドクトラル研究員 (70374212)
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Keywords | テクトニクス / 地球化学 / 地震 / 間隙流体移動 / 同位体 |
Research Abstract |
海洋プレートの沈み込み帯は、陸源砕屑物の供給、高い生産性により、厚い堆積物に覆われている。ここでは、厚い堆積物やプレート沈み込みに伴う高い圧力により、断層や泥ダイアピルを通じて、堆積物中の間隙流体の移動・海底への湧出がおこり、沈み込み帯における物質循環や地震活動に大きな影響を与えていると考えられている。 本研究ではプレート沈み込み帯で形成された自生炭酸塩脈に、この新しい「^<13>C-^<18>O結合温度指標」を応用し、炭酸塩脈形成時の流体の温度、δ^<18>Oを復元し、海洋プレート沈み込み帯の流体の起源、流路の長期変動について定量的な観測を行うことを目的とする。 炭酸塩鉱物の「^<13>C-^<18>O結合温度指標」は、炭酸塩鉱物中の^<13>C-^<18>O結合の数が、炭酸塩鉱物生成時の温度と相関することを利用した新しい温度指標である。一方、従来から測定されてきた炭酸塩鉱物の酸素同位体比(炭酸塩鉱物中の^<18>O/^<16>O比:δ^<18>O)は炭酸塩鉱物生成時の周囲の水の酸素同位体比と温度を反映する。このため、「^<13>C-^<18>O結合温度指標」から炭酸鉱物の形成時の温度を調べ、同時に炭酸塩鉱物のδ^<18>Oを測定することで、炭酸塩鉱物の生成温度と、生成時の周囲の水の酸素同位体比両方を知ることが出来る。「^<13>C-^<18>O結合温度指標」は炭酸塩鉱物とリン酸を反応させでてきた二酸化炭素の質量比47/44を精密に測定することで可能となる。この際、質量47の二酸化炭素の生成量は非常に少なく47の質量を持つ他の物質が少しでも混入していると正確な47/44の測定が行えない(Ghosh, et. al.(2006))。このため、精密な二酸化炭素の精製を行うために、ガスクロマトグラフィーを使って二酸化炭素を分離、回収する必要がある。平成19年度は、この二酸化炭素の超精密精製のために分取ラインの制作を行い、分析システムの確立を行った。
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