2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19654077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
伊左治 鎭司 Natural History Museum and Institute, Chiba, 地学研究科, 上席研究員 (40280747)
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Keywords | 白亜紀 / 古生物 / 古生態 / 手取層群 / 軟体動物 / ボロン法 / 幼生 |
Research Abstract |
本研究のターゲットである貝類の幼生化石は、大きさが300ミクロンほどであり、通常の貝類化石の調査方法では発見できない。そのため、有孔虫化石抽出で使用されるボロン法を用いて、堆積岩を分解して得られる残留物より、微小な化石を探すこととした。本年度は、試行の段階であり、ボロンによる分解が効く泥質岩を探すことにつとめた。また、この化学処理が、通常の大型化石表面に固着している鉱物の除去に有効であるかを調べた。 石川県白山市にある桑島化石壁(手取層群桑島層)の貝類化石包含層は、保存の良い貝類化石が多産することから、調査対象として適しており、ボロンによる分解を試みた。その結果、すべての化石包含層において効果が確認でき、岩相がより泥質であるものほど,短時間で処理が進んだ。得られる化石は、全体の大きさ(長径)が1センチメートルを超える大きさの貝殻は、分解とその後の水洗処理の過程で壊れてしまったが、2ミリメートルほどの大きさの胎貝は、破損も少なく、良好な保存状態を保ったまま抽出できた。この桑島化石壁の例だけでなく、岩相及び化石群構成が似ている地層をいくつか選んで分解を試みたところ、福井県大野市にある桑島層相当層においても、多くの微小な貝類化石を得ることができた。現在のところ、巻貝類(おそらく水生の有肺類)の胎貝が多数得られているが、二枚貝類の胎貝は未確認である。 大型の貝殻化石表面には、皮膜状の結晶が固着している揚合があるが、この鉱物についてはボロンによる分解が全く効かず、除去できないケースが多かった。この鉱物は、ボロンで処理した微小な貝類化石の表面にもわずかに残されてしまうので、殻表面の微細構造をSEMで観察する際には、面相筆等を用いて殻表面を摩擦するなどして、取り除く必要がある。
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