2007 Fiscal Year Annual Research Report
原始地球における有機分子の起源:13C固体炭素を用いた衝撃実験による検証
Project/Area Number |
19654083
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中沢 弘基 National Institute for Materials Science, 量子ビームセンター, フェロー (80333780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 利守 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ物質ラボ, 主席研究員 (70343829)
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60250669)
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Keywords | 生命の起源 / 有機分子の起源 / 初期地球 / 13C炭素同位体 / 衝撃実験 / アミノ酸 / カルボン酸(脂肪酸) / アミン |
Research Abstract |
地球は46億年前に、隕石や微惑星が集積して生成し、その凝集エネルギーで融解した。その後、生命の起源に必要な有機化合物が如何なる機構で地球上に出現したか、の謎を解くのが本研究の自的である。 地球形成後、隕石や微惑星集積の低減で40憶年前頃地球上に海洋が形成されるが、隕石爆撃は35億年前頃まで継続する。隕石の主成分は橄欖石と金属鉄であり、若干の固体炭素を含む.その隕石が海洋に衝突すれば、衝突エネルギーで海水は超臨界状熊となって金属鉄に還元されて水素を発生し、固体炭素と反応して有機化合物をつくるであろう、というのが本研究の作業仮説である。 本年度は、ステンレス製のカプセルに橄欖石、鉄、水を容れ、外側から衝撃を与える実験を行い、衝撃によって水が超臨界状態になることを確かめた。(Earth Planet.Sci.Lett.258(2007)543-549)。 同実験の生成物を電子顕微鏡により精査して、橄欖石の一部が超臨界水に一旦溶解することによって蛇紋石になっていること見出し、超臨界状態の発生を確認した.隕石や微惑星に含まれる蛇紋石は結晶中にOH基を含むので、地球生成以前に宇宙空間での氷天体と衝突した隕石や微惑星が凝集して地球を形成した際に、地球の海水の起源になった可能性を明らかにした。(Earth Planet.Sci.Lett,審査中) 同様の衝撃実験で、金属鉄、^<13>C-固体炭素、水を出発物質として用い、生成物から有機化合物を抽出してLC/MSおよびGC/MS分析によって、生成した有機分子を分析した。その結果、鎖状炭化水素の長さの異なるアミン類、カルボン酸類、およびグリシン(アミノ酸の一種)の生成を確認した。世界に先駆けた生物有機分子の非生物的合成の成功である。この結果は、無機界の原始地球に如何に有機分子か出現したか、生命の起源の大きな謎の一部を我々が明らかにしたことを示している。(Science投稿準備中)
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Research Products
(3 results)