2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高速度速度シアをもつ微粒子クーロン流体のミクロ構造成長
Project/Area Number |
19654086
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯塚 哲 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (20151227)
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Keywords | 微粒子プラズマ / ダストプラズマ / クーロン流体 / 速度シア流 / ミクロ不安定 / カオス / クーロン相互作用 / 強結合プラズマ |
Research Abstract |
本研究では、超高速の速度シアを持つ微粒子流を形成することにより、微粒子間サイズ長を持つミクロ的な渦列や、乱れ・揺動などのミクロ構造の発生と成長過程を明らかにする。 今年度は最終年度であり、微粒子対向シア流の境界領域に発生する揺動の観測を中心に実験を行ない、以下の成果を得た。 (1)速度シアが4s^<-1>程度になると、境界領域の微粒子の流れが乱れ始め、さらに速度シアを増すと渦流のような乱流状態になる。このことは微粒子クーロン粘性係数をもつナビストークス流体方程式から得られる不安定性の発生条件とほぼ一致することが分かった。 (2)渦流の発生は微粒子駆動力、放電電流、背景ガス庄力に依存し、これらの値によって結合パラメータΓ、及び微粒子揺動の成長・減衰定数が変化し、揺動が発生することが分かった。 (3)本実験系では微粒子駆動力を与えるための中性粒子流が背景として存在することが分かった。 (4)微粒子流に発生する揺動の周波数スペクトルを計測する方法として2つの方法を考案した。第1として個々の微粒子の軌跡を追跡し、その軌道変化を解析する方法であり、第2として定点を通過する微粒子の平均的揺動を観測し、解析する方法である。前者は短時間の計測しかできないのに対して、後者は長時間計測が可能となる。 (5)上記後者の計測法を用い、微粒子揺動の時系列データから揺動を支配している複雑性の評価を行なった。3次元位相空間での揺動の軌跡は平面に近いアトラクタを持つことが分かった。また相関次元の解析から、この揺動の次元は約2.4となり、非整数となることが分かった。また、リアポノフ指数のうち少なくとも1つは正となり、カオス的な振舞いを示すことが分かった。 以上により、微粒子速度シア流によるミクロ構造形成の非線形的振舞いが解明された。
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