2007 Fiscal Year Annual Research Report
ビオロゲンナノ・マイクロワイヤーの創製とその形成機構の検討
Project/Area Number |
19655001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星野 勝義 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 教授 (50192737)
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Keywords | ビオロゲン / ナノ・マイクロワイヤー / ナノ・マイクロチューブ / 電気化学 / ミセル電解法 / 酸化還元 |
Research Abstract |
本研究は,物理化学分野では最も著名な酸化還元分子の一つであるビオロゲンの,高規則性ナノ、マイクロ構造体(ナノ/マイクロワイヤー、チューブ)を作製しようとするものである。その形成手順は,研究代表者らがかつて提案した"ミセル電解法"なる薄膜形成法を利用して,上記ビオロゲン薄膜を形成し,しかる後にその薄膜に対して電位印加処理(電解還元処理)を施すことによって薄膜形態からナノ/マイクロワイヤー・チューブへの構造変化を誘起するものである。 平成19年度は,交付申請書「研究目的」及び「研究計画」に従って,薄膜形態からナノ/マイクロワイヤ・チューブ形態に変化に及ぼす電解液組成の検討(電解条件の把握),及び形態変化前後におけるナノ/マイクロワイアヤー・チューブの化学組成成分の変化(マイクロアナリシスの実施)の検討を行った。その結果,初めの薄膜形態からナノ/マイクロワイヤー・チューブ形態に変化する際に,ビオロゲンの対イオンであるアニオンの完全な置き換え(マイナスイオン交換)が生じており,このイオン交換が形態変化の駆動力の一つになっていることが判明した。具体的には,薄膜形態では,臭素イオンがビオロゲン化合物の対イオンとして存在するが,薄膜に電位印加処理を施すと,この臭素イオンが電解液中に仕込まれた過塩素酸イオンに完全に置き換わることが判明した。そして,そのマイナスイオンのサイズが大きく異なるために,薄膜に機械的な歪みがかかり,ナノ/マイクロワイヤー・チューブへの形態変化につながることがわかった。本年度の研究結果によって,新規な高規則性ナノ・マイクロ構造体形成のための駆動力を明らかにすることができたので,その内容に関する英文論文を執筆し,投稿を行った。現在,審査後の改訂作業中であり,間もなく掲載の予定である。本研究の成果は,反応の核心を把握できた点で重要である。
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