2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19655003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 博 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (40182000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊都 将司 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (10372632)
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Keywords | 単分子分光 / 光アンチバンチング / マイクロ液滴 / 単一分子光子統計 |
Research Abstract |
本年度前半は実験に用いる共焦点レーザー顕微鏡システムの構築及びその評価を行った。波長可変フェムト秒Ti:Sapphireレーザー(波長680〜980nm、パルス幅〜70fs、繰り返し80MHz)を用い、非線形結晶によりその二次高調波を発生させると共に、パルスの繰り返し周波数を8MHzに変化させ励起光とした。また波長488nmの連続発振レーザー光も励起光として用いた。自作の共焦点顕微鏡に、光検出器として2台のアバランシェ・フォトダイオード(APD)を用い、分割率50:50のビームスプリッタ、偏光ビームスプリッタ及び偏光子を目的に応じて変更できる仕様の検出系を設置した。時間相関単一光子計数(TCSPC)モジュールを使用し、単一蛍光分子からの蛍光を秒〜時間の幅広い時間範囲でリアルタイム計数可能な測定プログラムを自作した。 本年度後半は構築した装置の性能評価と液的中及び溶液中の単一分子計測を試みた。まず分光学的諸物性が既知で、かつ光耐久性が高く単分子分光の標準的試料であるペリレンビスイミド誘導体をPMMA等の高分子薄膜中に固定化し、単分子の蛍光強度、光子アンチバンチング、蛍光寿命を測定した。文献と比較し、構築した装置が所望の単分子蛍光検出能を有することが確認できた。次にペリレンジイミドを平均1個以下の濃度で含むアルカン液的を薄膜状のアガロースゲル中に固定した試料を作製し、液的中の単分子蛍光検出を試みた。その結果、液中を自由拡散する分子、及び界面に強く吸着した分子からの信号と解釈できる測定結果が得られ、液的中の単分子分光計測法確立に向けた意義深い成果が得られた。同時に、色素標識一本鎖DNAを用い、自由拡散により共焦点体積に侵入するDNA単分子に対して、蛍光のアンチバンチング計測を行った。その結果、色素標識DNAの熱的なコンフォメーション変化によるグアニン塩基と標識色素の出会い消光ダイナミクスを計測することにも成功した。
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Research Products
(7 results)