2007 Fiscal Year Annual Research Report
非線形摂動分光法による金ナノロッドの量子井戸準位間遷移の観測
Project/Area Number |
19655006
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
實方 真臣 Tokyo Polytechnic University, 工学部, 講師 (80277368)
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Keywords | 量子光物性 / 量子井戸 / 量子閉じ込め / 量子ドット / 金ナノ粒子 |
Research Abstract |
本年度は、金ナノロッドの電場吸収スペクトルに観測される光学遷移の起源を解明するため、サイズと形状の異なる金ナノロッド試料に対して電場吸収測定を行った。これに先行して行われた予備実験では、平均短軸・長軸長がそれぞれ4nm、20nmからなる金ナノロッドにおいて、可視域に表面プラズモン吸収とも、金のバンド間遷移とも対応のつかない振動構造をともなう電場吸収が観測されている。これに対して今回は、(1)同じ短軸長を持ち長軸長の短い(10nm)金ナノロッドの試料を用いた場合、および(2)同じ長軸/短軸比を持ったより大きな金ナノロッドの試料(短軸長:7nm、長軸長:35nm)を用いた場合で電場吸収の観測を行った。その結果、4nmという極めて細い短軸径を持った金ナノロッドでは先行結果と同様の振動構造を示す一方で、より大きな金ナノロッドでは振動構造は観察されず、その代わりに短軸方向成分の表面ブラスモン吸収に対応した二次微分形状に近い電場吸収スペクトルが観測された。より大きな金ナノロッドの結果については、表面プラズマ共鳴に応答した価電子系電子気体の誘導巨大双極子モーメントを反映した外部電場の摂動(一次シュタルク効果)によるスペクトル・ブロードニングであると解釈される。一方、短軸径の細い金ナノロッドで観測された振動構造には、それと明確に対応する光吸収帯がないことから、その光学遷移の候補として量子井戸形成にともなうサブバンド間遷移の可能性を考えられる。今年度は量子井戸準位の形成が知られる金属超薄膜との類推から、量子閉じ込め効果および界面電子ピン留効果の考慮により類似量子井戸準位形成のモデル化により光学遷移の起源を検討した。
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