2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19655010
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 嘉則 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (60029519)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 鉄男 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (80431493)
|
Keywords | カチオン性金触媒 / ヘテローエンインメタセシス / アルキニルケトン / π配位ルイス酸性遷移金属触媒 / 分子内付加反応 / 多置換環状エノン |
Research Abstract |
近年、π配位ルイス酸性遷移金属触媒、例えば、金、銀、銅、白金およびある種のパラジウム触媒による炭素-炭素三重結合の活性化とこれに対するヘテロプロ求核体の触媒的付加反応による新規炭素-炭素、炭素-ヘテロ原子結合形成反応は活発に研究され、最近の有機合成のトピックス的存在となっている。これまでの触媒反応のパターンは、カルボニルあるいはイミンなどの炭素-炭素三重結合の求核付加反応によるヘテロ環の形成反応が主流である。これに対しカルボニルの炭素-炭素三重結合への付加反応を経る炭素環構築反応の報告例はすくない。最近当研究室では、炭素側鎖を有するアルキニルカルボニル化合物がカチオン性金触媒存在下、分子内ヘテローエンインメタセシス反応が進行し、対応する多置換環状エノンが効率的進行することを見出した。本反応は、環境調和型手法により炭素-炭素結合と炭素-酸素原子結合を同時に構築する新しい有機合成方法論であり、有用性化合物に見られる多置換炭素環化合物を合成することが可能であると考えられる。まず、種々のπ配位遷移金属触媒とσ配位ルイス酸を用いて反応条件の最適化を行い反応性と選択性の向上を図った。その結果、AuCl_3とAgSbF_6共触媒を用いると、炭素側鎖を有する内部アルキニルケトン化合物が高い収率と高いchemo選択性で対応する4置換6員環エノンを与えることがわかった。最適反応条件下、アルキン部位が様々な置換基を有する芳香環および脂肪族置換基である場合、また、環状ケトンを有するアルキンではいずれも良好な収率で対応する生成物を与えることを見出し、置換基の電子的効果、立体的効果により反応性と選択性が向上することを明らかにした。次に、内部アルキンの代わりに、末端アルキニルケトン化合物の反応を試みた。その結果、内部アルキニルケトンの反応と異なり、AuCl_3とAgOTf共触媒を用いることにより3置換6員環内部環状エノン生成物が収率良く選択的に得られることを見出した。さらに、同様の反応条件下、オルトプロピニルフェノンでも反応が進行し対応するナフチル誘導体を得られることを見出した。本研究の更なる遂行により様々な有用性高いポリ環状化合物の効率的合成が可能であると考えられる。
|
Research Products
(4 results)