2007 Fiscal Year Annual Research Report
動的分子認識システムに基づく触媒的分子変換反応の開発
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19655012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (40168563)
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Keywords | 動的自己組織化 / ホウ酸エステル形成 / 大環状ホウ酸エステル / ビスホウ酸 / テトラオール |
Research Abstract |
ホウ酸とアルコールとを混合すると平衡的にホウ酸エステルが生じ、特にアルコールとして1,2-または1,3-ジオールを用いた場合には対応する環状ホウ酸エステルが室温で速やかに、かつ高収率で生成することが知られている。 今回我々は、この可逆的なホウ酸エステル形成を利用した自己組織化に基づく大環状ホウ酸エステルの構築を目的に検討を行った。その結果、インダセン骨格を有するテトラオールとp-フェニレンビスホウ酸を基質とし、反応溶媒としてメタノールを用いた場合には不溶性のポリマーを与えるのに対し、トルエン存在下同様の反応を行うと、不溶性のポリマーは全く得られずにテトラオールとビスホウ酸が二分子同士で環化した大環状ホウ酸エステル(以下[2+2]と示す)がほぼ定量的に得られることを見出した。またその単結晶を得ることに成功し、トルエンが一分子[2+2]内部に取り込まれていることをそのX線結晶構造解析により明らかにすることができた。更にベンゼン存在下において同様の反応を行うとポリマー、[2+2]は全く得られず、テトラオールとビスホウ酸が三分子同士で環化した大環状ホウ酸エステル(以下[3+3]と示す)を選択的に与えることも見出した。またこれら二つの大環状ホウ酸エステル間の相互変換が可能であることも明らかになり、ゲスト分子としてトルエンおよびベンゼンを用いることで二種類の大環状ホウ酸エステルを構築する動的自己組織化を実現することに成功した。さらに最近1,3,5-ベンゼントリスホウ酸を用いる系においても、3分子のテトラオールと2分子のトリスホウ酸からなるかご型環状ホウ酸エステルが生成することも見出し、現在この系について詳細な検討を行っている。
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Research Products
(3 results)