2008 Fiscal Year Annual Research Report
動的分子認識システムに基づく触媒的分子変換反応の開発
Project/Area Number |
19655012
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (40168563)
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Keywords | 自己組織化 / ホウ酸エステル / 1,4-ナフタレンビスホウ酸 / テトラオール |
Research Abstract |
本年度の研究では、ホウ酸エステル形成に基づく動的自己組織化の一般化および構築した動的ホスト分子を活用した選択的分子変換反応への展開を目的に研究を行った。まず、新たに様々なポリオールとビスあるいはトリスホウ酸との組み合わせに基づくホスト分子形成に関して適切なゲスト分子存在下で徹底的にスクリーニングを行った結果、ホウ酸化合物として1,4-ナフタレンビスホウ酸を用いた場合に、トルエン存在下でメタノール中においてテトラオールと混合することで、それらが2分子同士で環化した大環状ホウ酸エステル[2+2]がジアステレオ選択的に生成することが分かった。また、その単結晶X線構造解析から、ホスト分子がカラム状に並んだチューブ構造を取り、その中にゲスト分子であるトルエンが直線上に配置していることがわかった。このゲスト分子は減圧下加熱することにより除去することができ、また、トルエン蒸気にさらすことにより再びもとの構造に戻ることもわかった。この[2+2]は、溶液中でもDDQなどの電子不足な芳香族化合物と強い相互作用を持ち、両者を混合すると1HNMRスペクトルでホスト分子の化学シフトが大きく変化することがわかった。これまでの反応系ではこのような変化は観測されておらず、ナフタレン環を導入することによりゲスト分子との相互作用が大きく増大することを示す結果である。これにより取り込んだゲスト分子の選択的な活性化が可能になるものと考えられる。今後はナフタレン環にさまざまな置換基を導入しホスト分子とゲスト分子の相互作用の強化を目指すとともに、例えば光増感剤として反応に利用することを検討する予定である。
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Research Products
(3 results)