2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機ホスフィンの系統的分子変換を基軸とする配位子ライブラリーの創製とその利用
Project/Area Number |
19655014
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
依光 英樹 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (00372566)
|
Keywords | ホスフィン / 配位子 / 触媒 / ライブラリー / 多様性指向合成 |
Research Abstract |
アルゴン雰囲気下、THF中でキサントゲン酸エステルを触媒量の過酸化ラウロイル(DLP)とともに加熱すると、溶媒であるTHFのC-H結合がC-S結合に変換された目的化合物を得ることができた。本反応は、THF以外の溶媒にも適用可能である。種々の溶媒中で同様の反応を行うことで、C-S結合を持つ化合物を合成することができた。 この反応の機構は次のように考えている。まず、DLPより発生するアルキルラジカルが5と反応してベンジルラジカル7が発生する。これが5-exo環化しビニルラジカル8となる。これが溶媒のTHFから水素を引き抜き、ラジカル9を生成する。最後に9が5と反応して目的物の6が得られ、7が再生する(式2)。 容易に入手可能なN-(1-アルキニル)アミド(イナミド)を出発原料として、チオールのラジカル付加反応により1-アミノー2-チオ-1-アルケンを簡便に合成する手法を見いだした。 空気雰囲気下ジクロロメタン中、N-アルキニルイナミドとベンゼンチオールの混合物に対し、-30℃で触媒量のトリエチルボランを加え30分間撹拌すると、目的のエナミドが高収率かつ立体選択的に得られた。 炭酸セシウム触媒存在下1-アルキニルホスフィンスルフィドに対して種々のアミドを作用させると位置および立体選択的に付加反応が進行することを見いだした。アルゴン雰囲気下,DMSO溶媒中,10 mol%の炭酸セシウム存在下,90℃でジフェニル(フェニルエチニル)ホスフィンスルフィドとN-ベンジルトシルアミドを反応させた。室温まで冷却後,常法通りの後処理およびシリカゲルカラム精製を行うと、N-ベンジル-N-(1-フェニル-2-ジフェニルチオホスフィニルエテニル)トシルアミドが,収率84%、E/Z比96対4で得られた。さらに再結晶を行うことによりE体の生成物のみを71%の収率で得ることができた。
|