2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の均一熱分解を利用した超単分散金属ナノ微粒子の創製
Project/Area Number |
19655017
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
栗原 正人 Yamagata University, 理学部, 准教授 (50292826)
|
Keywords | ナノ微粒子 / 金属錯体 / 前駆体 / 表面修飾 / 熱分解 / 単分散 / シュウ酸 / 導電膜 |
Research Abstract |
150℃以下で低温焼結性を示す銀ナノ微粒子は、熱に弱いフレキシブル樹脂基板上への微細金属配線を実現するために重要である。インクジェットなど最近の印刷技術を応用した金属ナノ微粒子の微細パターニングには、その金属ナノ微粒子が溶媒に安定に分散した"ナノ微粒子インク"の開発が求められる。 一般に、安定なインクの作製には、より安定な表面保護分子で金属ナノ微粒子個々を分離することが必要である。一方で、インクの安定化に特化すると保護分子の除去が低温では困難になる。単座アルキルアミン系保護分子は、貴金属ナノ微粒子に対してはその表面安定化が弱いため低温焼結には最適であるが、逆に、ナノ微粒子の高効率・大量合成はこれまで困難であった。本研究では、銀アルキルアミン錯体を前駆体として用い、単分散性を実現した単座アルキルアミン保護銀ナノ微粒子の高効率・大量合成法の確立を目指した。 不溶性の貴金属シュウ酸塩の中でも、銀シュウ酸塩に注目し、その単座アルキルアミン複合シュウ酸錯体の合成を行った。単座アルキルアミンは銀イオンに対する配位能力が高いため、銀シュウ酸塩の無限連結構造を切断し、溶媒に可溶な単座アルキルアミン複合シュウ酸錯体を与えた。溶媒に均一に分散(溶解)した単座アルキルアミン複合シュウ酸錯体は150℃程度でそのシュウ酸イオンの熱分解が起こり、銀イオンが銀に還元された。還元された銀原子の凝集は進むが、周辺には単座アルキルアミンが存在しているため、その凝集による結晶成長はナノサイズで抑制されることが分かった。そのため、単座アルキルアミン保護銀ナノ微粒子が90%以上の銀基準収率で得られ、単分散性を実現した銀ナノ微粒子の高効率・大量合成が実現した。
|
Research Products
(2 results)