2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノシートを用いたナノマテリアルの組成標準試料の作成と超伝導検出器による組成評価
Project/Area Number |
19655029
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中井 泉 Tokyo University of Science, 理学部応用化学科, 教授 (90155648)
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Keywords | TES / ナノシート / マイクロカロリメーク / SEM / X線検出器 / 超伝導 / 電子顕微鏡 / 標準試料 |
Research Abstract |
超薄膜やナノマテリアルの組成分析の標準試料となる、原子レベルで厚みを制御した標準試料は従来はなかった。そこで、ナノシートを使って作成するという全く新しいアイデアを提案した。層状化合物のホスト層をバラバラにして、層状構造1層のみを取り出した「ナノシート」は、原子層単位の厚みとバルクの横サイズを兼備したユニークなナノマテリアルである。従来のSEM-EDSのSSD検出器では、ナノシートはあまりにも薄く組成を評価することは困難であった。そこで、SSDにかわる次世代の検出器として、我々が開発した超伝導転移端温度計(TES)型マイクロカロリーメータX線検出器をFE-SEMに搭載したSEM-TES-EDS分析システムを導入しか。TES型X線検出器はエネルギー分散型でありながらSSDと比較して1桁以上高いエネルギー分解能を有し、低電流低加速電圧下での高分解能の形態観察と組成分析を同時に行うことが可能である。本装置のエネルギー分解能として加速電圧5kVにおけるAl-Kα線(1.487keV)の半値幅として19eVが得られた.この新しい分析システムを用い、TiO_2,MnO_2、Nb_2O_5等のナノシートを合成し、LB法により任意の厚みの試料を作成し、TESによる組成分析を行った。ナノシートは、原料酸化物、原料炭酸塩から焼結法により出発原料を合成し、Langmuir-Blodgett法によって、任意の厚み(積層数)のナノシート積層体の調製を試みた。具体的には、低濃度のナノシートゾル溶液を、よく洗浄したLBトラフに展開した後、水面の安定およびナノシートゾル溶液の温度が一定となるのを目的に一定時間待ち、気-水界面上に吸着したナノシートを、バリヤーを用いて一定速度で圧縮し、ナノシート膜が安定になった後、リフトにて垂直に基板をゆっくりと引き上げる事によってナノシートの転写を行った。この方法で、任意の厚みのナノシートを得ることができたが、層数にはばらつきが見られた。得られた厚みの異なるナノシート積層膜について、TES-EDSシステムで分析をおこなった所、層数に比例した特性X線強度が得られ、JJAPで論文を発表し初期の目的を達成した。
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Research Products
(6 results)