2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19655033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 康之 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (30144330)
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Keywords | デンドリマー / メタセシス / ルテニウム錯体 / 配位子 / 触媒活性 / 結晶構造 |
Research Abstract |
本研究においては,デンドリマー触媒のさらなる応用範囲の開拓を目的とし、柔軟なポリエーテルデンドリマーを組み込んだ新規NHC配位子を設計・合成した。配位子の有効性を評価するため、ルテニウム錯体を合成し、オレフィンメタセシス反応における触媒活性を検討した。配位子の外側にデンドリマーを組み込むことより、中心金属近傍には空間を保持し、金属から離れた位置には嵩高い立体を有する反応場が構築できると考えた。導入するデンドリマーは、構造が柔軟で多様な立体構造をとることが可能であり、かつ、様々な反応に対して比較的安定なポリベンジルエーテル型のデンドリマーを選択した。配位子前駆体となるイミダゾリニウム塩は、種々の合成経路を検討した結果、第3世代(G3)までの合成に成功した。出発原料から三段階で合成し、いずれの段階も中程度以上の収率で生成物を得た。こうして得られた配位子前駆体を用いて、メタセシス触媒となるルテニウム錯体を合成し、第2世代(G2)までの合成に成功した。得られた錯体のうち、第0世代の錯体についてはX線結晶構造解析により、その結晶構造を決定した。Grubbs-Hoveyda触媒との比較検討は、オレフィンメタセシス反応の触媒活性の検証に一般的に用いられるマロン酸ジエチル誘導体の閉環メタセシス反応で行った。5員環の環状オレフィンを与えるジアリルマロン酸ジエチルを用いて反応行ったところ、いずれの触媒でも反応がほぼ定量的に進行した。デンドリマー部位は反応を阻害することなく、メタセシス触媒として有効に機能することがわかった。
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Research Products
(4 results)