2007 Fiscal Year Annual Research Report
光学禁制励起子準位を利用した新規エネルギー移動色素集合体の構築と解析
Project/Area Number |
19655045
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村中 厚哉 Tohoku University, 独立行政法人理化学研究所, 協力研究員 (20374902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村中 厚哉 独立行政法人理化学研究所, 協力研究員 (20374902)
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Keywords | 光物性 / 合成化学 / ナノ材料 / 超分子化学 |
Research Abstract |
新理論に基づいたエネルギー移動の式が成り立つような励起状態(励起子禁制状態)を形成する分子集合体を構築するために、フタロシアニンやテトラアザポルフィリン誘導体を用いて色素ダイマーを合成した。最低励起子エネルギー状態が双極子禁制になることが理論的に予想される対面型色素ダイマーの、ケイ素μ-oxo型フタロシアニンダイマーを合成し、各種分光法を用いて化合物のキャラクタリゼーションを行った。吸収スペクトル測定によって、合成した対面型色素ダイマーの極大波長が対応するモノマーよりも短波長にシフトし、色素間に強い相互作用があることが明らかとなった。時間依存密度汎関数理論(TDDFT)計算は実測の短波長シフトを再現し、極大波長よりも長波長側に禁制遷移が存在することを支持する結果を与えた。一方、第二励起子準位への遷移が光学禁制になることが考えられるslipped-stack型に連結するフタロシアニンダイマーの合成についても検討した。幾何学的配置を固定するために[2.2]パラシクロファン構造を有する連結ユニットを合成し、目的のダイマーを得ることに成功した。得られたダイマーの吸収スペクトルの最長波長の吸収帯は対応するモノマーに比べて長波長にシフトし、強い相互作用が色素間にあることを示す結果が得られた。理論計算によると最低励起状態は光学許容、第2励起状態は光学禁制の性質を有することが予測されたが、二つの準位のエネルギー差は対面型色素ダイマーに比べて小さく、励起子禁制準位を有する色素アクセプターとして用いる場合には色素の周辺置換基を変化させるなど更なる分子設計をする必要があることが示唆された。
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