2007 Fiscal Year Annual Research Report
刺激応答性ロタキサン型分子スケールダイオードの創製
Project/Area Number |
19655048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 敬治 Osaka University, 基礎工学研究科, 准教授 (10252628)
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Keywords | 分子素 / ロタキサン |
Research Abstract |
本研究は外部刺激によりロッキング運動を制御しうるロタキサン合成と、ロッキング運動がもたらすロタキサンの双極子変化を用いた分子スケールダイオードへの応用等、分子素子への応用の可能性を探ることを目的としている。19年度は、申請書に記載の3種類の刺激応答性輪分子を必要量合成すると共に熱的安定性、耐久性等基礎物性を定量的に測定する計画を立てた。また、反応の進行状況に応じて、ジアリールエテンをクラウンエーテルに組み込んだ新しいタイプの輪分子の合成および物性評価へと研究を進めることまでを計画に含めた。本計画にのっとり、研究を実行したところ、計画通りに研究は進展し、研究実施計画に記載の3種類の輪分子の設計・合成・物性測定を完了した。またこれら三種の輪分子は光で定量的に閉環型の輪分子になり、熱を与えるともとの開環型の輪分子に戻ることが確かめられた。これら輪分子の光反応および熱反応性やそれらの繰り返しに対する耐久性等の基本性能を詳細に、しかも定量的に測定し、その研究成果を論文に記載することが出来た。また、一連の合成実験を通して得た知見を展開し、ロタキサンの新合成法とデスリッピング反応に関する成果に結びつけ、論文と学会報告を行うとともに、ロタキサン合成反応に応用したクラウンエーテルの錯形成に基づく知見を、新たなクラウンエーテルの研究に展開し、これも論文にまとめることが出来た。 一方、より高い活性化エネルギーを付与して高い熱安定性を持たせれば、分子メモリー等の新規材料になりえると考えられる。申請者は速度論的に十分に安定なロタキサンを開発するために、熱安定性が高くしかも環サイズを外部刺激により可逆的に変えることのできるフォトクロミックコンポーネントとして、ジアリールエテンをクラウンエーテルに組み込んだ環サイズ可変輪分子を設計した。現在までのところ、環化反応の前段階にまで到達している。
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Research Products
(8 results)