2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19655050
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 克也 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (40265731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 素子 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30370125)
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Keywords | キラル磁性体 / キラル磁気構造 / 不斉磁気光学効果 / 絶対不斉合成 / 電気磁気効果 |
Research Abstract |
有機カルボン酸と2価コバルトイオンの自己集合組織化による水熱合成を用いる方法では、一般に転移温度40K程度の強磁性の層状化合物が得られる。本年度は、構築に用いる有機カルボン酸にトポ光反応を起こしうる二重結合などの反応部位をもつ分子を用いて、強磁性体の構築検討を行い、新たな層状磁性体の構築に成功し、構造決定を行った。さらにSQUID磁束系内での光照射装置を試作した。この化合物について極低温下(5K-50K)、光照射実験を行った。生成物の解析は現在進行中である。また新しい物質合成の試みとして無機物に近い鉄イオン、キラルアミン、リン酸イオンを用いた水熱合成を行ったところ、期待した有機分子を含むものは得られなかったものの、奇妙な弱強磁性の発現を発見した。この化合物は、傾角磁性の一種であるが、磁気スピンの傾きが温度に依存し、極低温ではほぼ零になるという今までに知られていない磁性を示す。この傾角磁性の原因は、不斉構造に由来するジアロシンスキーモリヤ相互作用と考えられるが、詳細は不明である。しかしながら不斉構造と磁気構造が強くカップルした系と考えられ、不斉構造と磁気不斉構造の原因を明らかにすることにより、絶対不斉合成の指針を得る手がかりになるものと考えられる。またこの化合物は、結晶水の可逆的な脱離、吸着挙動が見られ、その詳細を検討した。またこの吸着機能は、有機分子の吸着が可能と考えられ、この磁性体中での反応を行うことにより不斉合成が可能と考えられ、磁性とともにさらに検討を続ける。
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Research Products
(10 results)