2007 Fiscal Year Annual Research Report
新概念に基づく高い効率を目指した光駆動一方向回転分子の開発
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19655052
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
樋口 恒彦 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 教授 (50173159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 直樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (40347422)
加藤 信樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (50400221)
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Keywords | 色素 / 分子モーター / 光エネルギー変換 / ラジオメーター / 可視光励起 / 振動緩和 / 分子動力学 / 光学活性 |
Research Abstract |
色素は、光子により励起状態に昇位すると、瞬間的に数百度〜千度の温度状態になり、振動緩和により、通常は等方的に周辺分子に運動エネルギーを伝播し、自身は基底状態に戻る。ここで、色素分子の片面を遮蔽する部位を分子内に与えれば、周辺分子への運動エネルギー伝播に方向性を持たせることになり、すなわち反作用として色素分子に一方向への運動性を与えると考えた。この新しい分子設計概念に基づき、一つの軸に対して色素と遮蔽部位を有するものを設計・合成し、光によって効率よく回転する分子の創製等を行う。上記より新しい光-分子動力学分野を開拓することを目的とする。 本年度は概念に適合する構造の分子の合成を行った。アントラセン骨格の9位に、まず回転エネルギーを他に伝達するための足がかり部位どして、3,5-dimethoxycarbonylphenyl基を結合させた。次に遮蔽部位である剛直で広い面積を有する置換基の結合したマレイン酸イミドを合成し、それをアントラマン部分とDiels-Alder反応で結合させた。生成物はシン体とアンチ体の混合物であったが、アントラセンに結合したアセタミド基のアセチル基を脱保護し、アミノ基に変換することでカラムで容易に分離できた。このうちのシン体についてアミノ基をアリールアゾ基に変換することで、当初考えていた構造を構築することに成功した。この色素を最後に光学活性カラムにて光学分割し、両エナンチオマー体を分離した。CDスペクトルを測定・解析することでそれぞれの絶対配置までをほぼ決定できた。
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