2007 Fiscal Year Annual Research Report
フェロセン系分子からなる新しいイオン液体の設計と微視的評価
Project/Area Number |
19655053
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
持田 智行 Kobe University, 理学研究科, 教授 (30280580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正 東邦大学, 理学部, 教授 (30171523)
桑原 大介 電気通信大学, 機器分析センター, 准教授 (50270468)
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Keywords | フェロセン / イオン液体 / 相転移 / 磁性 / 結晶構造 |
Research Abstract |
今年度は、アゾールフェロセン類、およびアルキルフェロセン類の塩の合成法の探索に重点を置いた。 ここではまず、一連のアゾールフェロセンを合成し、そのN-アルキルアゾリウムカチオンのヨウ化物を合成した。ヨウ化物塩はイオン液体の前駆体として有用であり、分光の上での参照物質としても重要である。生成したイミダゾール系の塩は、トリアゾール系の塩より概して低融点であり、一部は室温イオン液体の可能性があることが確認された。塩の多くについてX線構造解析を行い、その分子間相互作用について検討した。ほとんどの場合、結晶内でヨウ化物イオンはアゾール部に近接して位置し、アゾール部のC-H部位と弱い相互作用を複数形成していた。また、アゾール部とフェロセン部の間にフェニレン基を有する分子はπ-π相互作用を形成しやすいのに対し、アゾール部とフェロセン部が直結した分子では分子どうしが直交する傾向があった。アニオン交換の方法についても検討を加え、より大きなアニオンとの塩の合成法を見出した。 あわせて、アルキルフェロセン類の塩についても探索的合成を行った。条件検討の結果、単離の方法を確立することができた。置換基が異なる誘導体を多数合成し、熱測定を行うことによって、分子形状と熱的性質に関する系統的な知見を得た。 以上のように、フェロセン骨格を含む新しい型の低融点塩の合成法を確立することができた。
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