2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染海藻由来多糖の機能化による分子デバイスの開発
Project/Area Number |
19655056
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯浅 英哉 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (90261156)
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Keywords | 多糖 / 海藻 / AFM / 分子デバイス / 蝶番糖 |
Research Abstract |
本研究では、地中海で大繁殖している環境汚染海藻イチイヅタの主成分であるベータ1-3キシラン(13Xylan)の有効利用に資するための基礎検討を目的とする。13Xylanは、各キシロース単糖の環フリップにより、蛇腹のような伸縮運動を起こすことが期待できる。そこで、原子間力顕微鏡を用いた引っ張り実験により、13Xylanを各種条件下で引っ張り、その伸縮性を確かめる。本研究ではタカノハヅタから13Xylanの単離を行うことに成功した。また、ゲルろ過法により高分子分画と低分子分画に分離し、それぞれに対し糖定量分析を用いることにより、平均重合度88と40の13Xylanを得ることができた。また、原子間力顕微鏡(AFM)での引っ張り実験を行うための13Xylanの両末端処理として、過ヨウ素酸ナトリウムを用いたジオールの酸化的解裂およびリポ酸ヒドラジドとのカップリング反応により、リポ酸誘導体へと導いた。13XylanをAFMで引張った際の力学的特徴を浮き彫りにするために、類似化合物であるベータ1-3グルカンについてもリポ酸誘導体へと導いた。AFM測定の結果、カードランとキシランの平均長はそれぞれ18nmと27nmであった。Worm-Like Chainモデルにあてはめてフォースカーブを解析することにより、高分子の柔軟性を示すパラメーターであるPersistence Lengthを求めると、13Xylanについて0.14nmが算出された。いっぽう、キシラン中のキシロースの環フリップを誘起させる目的でホウ酸を加えると、Persistence Lengthが0.04nmと大きな変化を見せた。これにより分子蛇腹が創製できた証拠とはならないが、今後さらに精度の高い実験を行うことにより、分子蛇腹作製へとつながる期待をつなぐ結果となった。
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