2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物半導体ナノホールアレイからの電気化学発光と波長制御
Project/Area Number |
19655070
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
早瀬 修二 Kyushu Institute of Technology, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (80336099)
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Keywords | 電気化学発光 / ナノポア / ポーラスアルミナ / ポーラスチタニア / 細孔 / 時間分解 |
Research Abstract |
直線状のナノホールアレイ中での電気化学発光に関する研究を行い、ナノポーラスアルミナ、ポーラスチタニア薄膜中で発光させると発光が増大する現象を見出した。ナノホールアレイを有する電気化学発光素子は透明導電膜/ポーラスアルミナ薄膜(PA薄膜) または ポーラスチタニア(PT薄膜)薄膜/透明導電膜からなる。PTまたはPAナノホールアレイ内部にはルテニウム錯体の溶液を満たした。両極の透明導電膜間に電圧を印加すると2.5V程度から発光が観測できた(500cd/m^2)。発光強度は、ナノポーラス膜なし<PA薄膜<PT薄膜の順に大きくなった。ナノホールアレイ膜を電極間に挿入することにより、発光種であるRu(I)とRu(III)が制限されたナノボア内で衝突する確立が増大し、発光効率が増大するものと考えられた。これらの反応機構は、電流-電圧曲線、電圧-発光曲線、時間分解発光強度曲線を用いて解析された。特に強い発光はチタニアナノホールアレイを用いたときに観測できた。チタニアナノホールアレイが半導体であり、チタニアナノ壁面からの電子注入が起こるためと考えられた。強い発光を得るためには、チタニアナノーホールアレイの片側に薄膜絶縁層を形成する必要があった。この絶縁層がないと、電圧印加時にチタニアナノホールアレイ層を通じて短絡が起こった。アルミナ薄膜を片面に持つチタニアナノホールアレイ(PT-ALアレイ膜)作製の成功が大きな発光増大を可能にした。発光は交流でも直流でも観測できた。溶媒に対する依存性が高く、直流発光させるためにはアセトニトリル溶剤が必須であった。一方、交流で発光させる場合には、プロピレンカーボネートなどの高沸点溶剤を用いることができた。直流発光の場合、電圧印加から数十ミリ秒後に発光し、正極、陰極で作製したRu(I)とRu(III)がアセトニトリル中を拡散して衝突する拡散速度が計算できた。ナノホールアレイ中のナノスペースが拡散-発光に重要な役割を果たしていることがわかった。
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