2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19655071
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
雨宮 健太 High Energy Accelerator Research Organization, 物質構造科学研究所, 准教授 (80313196)
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Keywords | X線定在波 / 分子メス / サイト選択性 / 光化学反応 / 三次元位置選択 / X線マイクロビーム / 有機薄膜 / 自己組織化単分子膜 |
Research Abstract |
W/C多層膜の上に2原子層程度のAu薄膜を蒸着し、この上にMHDA[HS-(CH_2)_15-COOCH_3]の自己組織化単分子膜を作製した。これに対して530eV付近のいくっかのエネルギーにおいて軟X線を照射しながら、放出電子および放出イオンを検出したところ、ブラッグ条件を満たす入射角(20度付近)において、それらの増加が確認され、確かに定在波が発生していることがわかった。さらに、エネルギー依存性を詳細に確認したところ、サイト選択的なイオン脱離が起こりやすいといわれる01s→σ*(OCH_3)ピークにおいて、脱離イオンの増加が観測され、サイト選択的なイオン脱離を確認することが出来た。 一方、従来のイオン検出器は試料の真下にあり、一方で試料は横向きにしないと回転できないために、イオン検出器が表面すれすれの方向になってしまい、検出効率が非常に悪いという問題も明らかになった。そこで、試料をチルト方向(おじぎする方向)に回転できるような試料ホルダーを作製し、これによってイオン検出効率を2-3桁程度高めることが出来た。また、イオン検出器自体にも改良を加え、検出器の上にある2枚のメッシュに印加する電圧を自由に調整することで、電子とイオンの両方を効率よく取り込める構造にした。 こうした工夫を行った上で、上記の試料に対して改めて電子およびイオン放出量のエネルギー、角度依存性を詳細に測定し、サイト選択的な化学結合開裂にともなうイオンの脱離量が、特定の入射X線エネルギーと特定の角度において増大することが確認され、高さおよびサイト選択性を実現することができた。
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