2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子繭:固体媒体中におけるフォトクロミック分子の光反応性の確保
Project/Area Number |
19655072
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
横山 泰 Yokohama National University, 大学院・工学(系)研究科(研究院), 教授 (60134897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生方 俊 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教 (00344028)
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Keywords | フォトクロミズム / ポリシロキサン / 高速熱消色 / スピロオキサジン / 光着色反応 / 熱消色反応 |
Research Abstract |
昨年度は熱不可逆なであるジアリールエテンの着色効率を高めるための「分子繭」としてデンドリマージアリールエテンを合成し、それが高分子媒体中で着色体の時のコンフォメーションを記憶していることを明らかにした。今年度は、熱可逆な系の熱消色反応をいかに高速に行うか、ということを目標に研究を行った。熱可逆なフォトクロミック化合物としてはスピロオキサジンを用いた。その結果、以下のことが分かった。 媒体にPMMAなど固い高分子を用いると、速い消色を示す成分と遅い消色を示す成分が媒体中に存在し、速い成分は溶液中に近い速度で消色するが、遅い成分はいつまでも消え残るために全体として消色の速度は非常に遅くなる。そこで、媒体として、ガラス転移点が非常に低く、溶液と同じ程度に柔らかいが固体であるポリシロキサンを「分子繭」として用いることとした。その際、ただ混合しただけでは相分離して均一なフィルムにならないことが予想されたので、シロキサン鎖にスピロオキサジンを共有結合によってペンダントした系を構築し、混合系と比較することとした。その結果、混合系は非常に速く消色するが、相分離・結晶化・周囲への拡散のために濃度を上げることができない。一方ペンダントした系は高濃度にすることができ、フィルムの成膜性も良く、しかも溶液中と同等の消色速度を示すことが分かった。現在特許申請中であり、論文執筆中である。 本知見は、自動調光材料を熱可逆なフォトクロミック化合物によって作る際に、その消色反応速度を溶液中と同等に保つ有効な方法であり、工業的に非常に有益な発見である。
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Research Products
(7 results)