2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19655074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 淳夫 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (30359690)
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Keywords | 窒化物 / 遷移金属 / 水素吸蔵 / リチウム電池 |
Research Abstract |
Li-Fe-N系の安定相は逆ホタル石型のLi3FeN2が基本的には安定相であるといわれてきた。しかし、3d遷移金属系列のLi-M-N系において安定相が逆ホタル石構造から層状構造に切り替わるのはFe-Coの境界であり、Li-Fe-Nにおいては層状構造のものも、比較的容易に合成できるのではないかと考えた。 19年度のLi-Fe-N系の探索研究の中で、これまで1000度以上の高温度で、かつ鉄容器で密閉した特殊な環境でしか合成できないといわれてきた、層状構造を有するLi_<1-x>Fe_xN_3を、シンプルな固相法によって、600度付近の低温で合成することに成功した。Li/Fe比を系統的に変化させることで、X線回折ピークの連続シフトやこれに対応する格子定数の直線変化から連続固溶を確認し、メスバウア分光、組成分析などから、現在x=0.3までの固溶を確認した段階である。これは、昇温過程における金属鉄の生成を昇温中の雰囲気を窒素に設定し、Li_<1-x>Fe_xN_3が安定化する600-700度でアルゴンに置換するユニークな合成条件設定にすることで実現したものである。生成条件の特定とその機構についてはほぼ完了しており、この知見をもとに固溶限界を広げる検討を推進している。 この材料系列の機能開拓の一環として、リチウム電池負極特性を調べた。初期にリチウムを対リチウム1V付近で引き抜くことができ、その容量は550mAh/gと非常に大きいものであった。その後も、1V以下の電位領域で可逆的な充放電を行えることを確認している。今後の組成や電極、充放電条件の最適化により大幅な容量向上が期待でき、非常にインパクトのある機能材料としての可能性を秘めている。今後、特許出願、外部発表を行う。
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