2007 Fiscal Year Annual Research Report
メソクリスタル構造からのナノ空間の創出とそのホスト機能のデザイン
Project/Area Number |
19655078
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 宏明 Keio University, 理工学部, 教授 (70255595)
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Keywords | ハイブリッド / メソクリスタル / ホスト材料 / ナノ空間 / 有機色素 |
Research Abstract |
メソクリスタルとは有機高分子に覆われたナノ結晶の階層的集積体である。本研究では、このナノ結晶間に創出される微小空間への機能性有機色素分子の導入を試み、導入が可能なゲスト分子の特性とゲスト分子の環境を調査することで、メソクリスタルのホスト材料としての可能性を検討した。メソクリスタル構造として、炭酸カルシウムナノ結晶集積体である卵殻(鶏卵)、炭酸カルシウム・ポリアクリル酸複合体、硫酸カリウム・ポリアクリル酸複合体、フタル酸水素カリウム・ポリアクリル酸複合体を用い、これらのナノ結晶間隙へさまざまな色素分子を導入した。その結果、メソクリスタル構造には、親水性、疎水性にかかわらず多様な色素分子の導入が可能であることが明らかとなった。また、それぞれの分子の吸光・蛍光スペクトルなどの光学特性から、親水性分子は親水性環境に、疎水性分子は疎水性環境に存在することが確認され、ナノ結晶間隙の空間は両親媒的な性質をもつホストであることが示された。さらに、クマリンやアゾベンゼンなどの光応答性を示す有機分子を用いてナノ空間の特性を評価した結果、いずれの構造においても光二量化や光異性化といった分子の構造変化が許容され、その変化速度は、ナノ結晶とそれを覆う有機高分子の種類に依存することがわかった。したがって、メソクリスタルはさまざまな機能性分子を取り込む構造をもち、そのナノ空間の特性は結晶と高分子の組み合わせによって制御可能な新規なホスト材料として期待される。
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