2007 Fiscal Year Annual Research Report
菌体外に多糖複合繊維を産生する酢酸菌ナノビルダーの創生
Project/Area Number |
19655083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 哲男 Kyushu University, バイオアーキテクチャーセンター, 教授 (30202071)
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Keywords | ナノマシン / ナノ材料 / 生体材料 / 菌体外産生多糖ファイバー / 酢酸菌 |
Research Abstract |
酢酸菌は、幅0.5-1.0μm、長さ2-10μmの桿菌であり、幅約50nmで厚み約10nmのセルロースナノファイバーを菌体外に噴出し、その反作用を駆動力として走行する。この酢酸菌の任意の方向への走行が、産生ナノファイバーをペリクルと呼ばれる三次元網目構造形成へと導く。近年、近藤らは一軸方向に配向しながらも非結晶性を示すネマチックオーダーセルロース(NOC)^<1)>フィルムを開発した。さらに、このNOCは配向方向への強固な相互作用によって他の分子を一方向に配列させる性質を有することから、これを培養基板として用いた酢酸菌の走行制御法が提案された^<2)>。この基板上で酢酸菌を培養することにより、菌体は配向方向へナノファイバーを産生しながら走行しつづけ、その結果、パターンが制御されたセルロース三次元構造体を構築することが可能となった。 上記のような三次元構造体の材料として微生物由来ナノファイバーを考えた場合、ハイブリッド繊維を産生させることで、新規な機能の発現が期待される。そのためには、セルロース以外の物質の合成系を酢酸菌へ導入して形質転換し、さらにその物質をセルロースナノファイバーと同時に菌体外へ産生させる可能性を探る必要がある。 そこで本研究では、樹木の二次代謝において、セルロースとともに合成される(1→3)-β-グルカンに注目した。(1→3)-β-グルカンは、免疫賦活作用、抗腫瘍作用などの性質を有していることで知られている。さらに(1→3)-β-グルカン合成酵素は、遺伝子研究の進んでいる酵母に存在していることから、酵母から(1→3)-β-グルカン合成酵素遺伝子を抽出し、酢酸菌へ導入して形質転換する試みを行う。そのためまず、酵母から核酸の抽出を行った。次に、これを用いてPCR法およびRT-PCR法により(1→3)-β-グルカン合成酵素遺伝子の増幅を検討し、得られた遺伝子断片の解析を行った。
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