2007 Fiscal Year Annual Research Report
層状物質の薄片剥離およびヘテロ積層による新奇物性発現
Project/Area Number |
19656011
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
上野 啓司 Saitama University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (40223482)
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Keywords | 層状物質 / フレキシブル素子 / グラフェン / 層状カルコゲナイド / 薄片剥離法 / exfoliation |
Research Abstract |
本研究では,「柔軟で安定度が高く,電気的特性のよい半導体薄膜素子」の実現手法として,「層状構造を持つ物質の利用」を提案している。具体的には「単層化グラファイト(グラフェン)」および「単層化層状カルコゲナイド」の利用を試みている。本年度は,グラファイト粉末の化学的処理による単層化と薄膜形成に主眼をおいて研究を進めた。 グラファイト粉末を過マンガン酸カリウムなどの酸化剤によって酸化して酸化グラファイトとし,これを水中に分散させて超音波を加えると単層に剥離した酸化グラフェンが得られる。これを遠心分離した後純水に溶かし,表面を親水処理したガラス基板を垂直に浸漬し,引き上げると酸化グラフェン薄膜が得られる。この酸化グラフェン薄膜を還元すると,グラフェン薄膜が得られる。酸化グラフェン水溶液の濃度や引き上げ速度を制御することで,膜厚を調整することもできる。 還元手法として,まずヒドラジン-水和物の蒸気に薄膜を曝したところ,黄色薄膜が無色に変化し,20S/cm程度の電気伝導率を持つ透明薄膜が得られた。また,酸化グラフェン薄膜を真空下で1100℃に加熱したところ,約2000S/cmという高い電気伝導度と可視光領域で約80%の透過率を持つ薄膜が得られている。この電気伝導度は,現在透明電極として幅広く用いられている酸化インジウムスズ(ITO)の値の数分の1に達している。ITOは資源が限られるため代替材料の開発が活発に進められているが,透明グラフェン薄膜はその候補となりうる物質であることがわかった。
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Research Products
(3 results)